ひき逃げ認めず、一部無罪 静岡地裁「認識は困難」
昨年6月、静岡市で横断歩道に横たわっていた男性=当時(72)=をはねて死亡させ、逃げたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元タクシー運転手黒田俊夫被告(75)に、静岡地裁は28日までに「事故の認識は困難」と認め、ひき逃げについて無罪の判決を言い渡した。過失致死は有罪とし、禁錮1年4月、執行猶予3年(求刑懲役4年)を言い渡した。27日付。
判決理由で国井恒志裁判官は「歩道から車道にはみ出して横たわっていた被害者を認識することは困難。事故後の行動も人身事故の可能性の認識を強く推認させるものではない」と指摘した。また、検察官が取り調べで、男性に「命奪ってんだから、自分の運転で」などと強い口調で述べたと認定。「万が一、人だったらどうしようという思いがあった」とする被告の捜査段階の供述は信用できないとした。
静岡地検の小長光健史次席検事は「判決内容を精査し、適切に対処したい」とコメントした。