植物学者の牧野富太郎博士が1889年に発見したラン科の植物「コオロギラン」の花に付いている小さな突起が、昆虫が花粉を運んでくれなくても自力で受粉する役割を担っていることを、神戸大の末次健司教授が突き止めた。発見から130年以上残されていた謎が解けた。
コオロギランは本州や四国、九州に分布。高さ5センチ程度で、杉林の比較的暗い地面で落ち葉から顔を出すように生えている。光合成だけでなく、共生する菌類からも栄養を得ている。めしべの先端から斜め下向きに伸びる0・5ミリほどの突起が特徴的だが、役割は不明だった。