第1原発の廃炉目標、厳しい現実 原賠機構の山名理事長
東京電力福島第1原発の廃炉の技術的な指導をする原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名元理事長が27日までに共同通信のインタビューに応じ、廃炉を2051年までに終えるとする政府と東電の目標について「厳しい現実が見えてきている」との認識を示した。目標見直しの要否については「溶融核燃料(デブリ)の搬出工法が確定しておらず、まだ変える局面には来ていない」と述べ、今後の検討に含みを持たせた。
事故を起こした1~3号機の原子炉建屋は放射線量が高く、推計880トンあるデブリの搬出が難航すると見込まれるため。東電は30年代初頭の開始を計画する3号機での大規模取り出しの工法を年内にも具体化する方針で、山名氏は「(工法を踏まえ)必要があれば政府に目標の修正を提言する」とも明らかにした。
1~3号機では、原子炉格納容器の上ぶたが高濃度の放射性セシウムで汚染されていることが判明。厳しい作業環境が明らかになりつつある。
山名氏は「デブリ搬出にとって重要な技術的状況が見えてきたが、楽になる情報は一つもない」と話した。