ムツゴロウ、絶滅危惧種に 干拓と乱獲で、IUCN公表
国際自然保護連合(IUCN)は27日、世界の絶滅危惧種をまとめたレッドリストの最新版を公表した。国内では九州の有明海などに生息するムツゴロウが新たに絶滅危惧種と評価された。沿岸の開発や干拓による干潟の消失、加えて乱獲で、15年前と比べ数が少なくとも30%減少したとみられる。
ムツゴロウは水陸両生のハゼ科の魚。えらと皮膚の両方で呼吸でき、潮が引いた干潟の上で活動することで知られる。日本から東南アジアまで広く分布するが、中国や台湾、韓国でも開発や漁業の影響で絶滅リスクが高まっているという。
IUCNの絶滅危惧種の分類では、上から3番目に危険度が高いと位置付けられた。日本では、環境省が既に近い将来に野生で絶滅する恐れが高い「絶滅危惧IB類」に分類している。かつて国内最大級の生息地だった、佐賀県と長崎県が面する諫早湾では、干拓で干潟が消失し、絶滅したと考えられている。