綱とり日馬富士“改心”白星スタート
「大相撲秋場所初日」(9日、両国国技館)
3度目の綱とりに挑む大関日馬富士は新小結碧山を寄り切りで退けた。全勝優勝を果たした7月の名古屋場所では、だめ押しを犯して問題視された相手だが、攻撃を受け止めて冷静に逆転。だめ押し封印を求めた鏡山審判部長(元関脇多賀竜)も、大関の“改心”に納得の様子だった。横綱白鵬は栃ノ心を寄り切りで退けたが、大関陣では把瑠都が微妙な内容で魁聖に不覚を取った。
ヒヤリとした。日馬富士は碧山の突き押しに追い込まれたが、一瞬相手の動きが止まったすきを逃さずに両まわしを取り、一気に寄り切った。「初日は緊張する。勝ちは勝ち。まわしを取ってからは落ち着いて出られた」と冷静に振り返った。
悲願の綱とりへ、品格を問われる一番だった。先場所の初日も碧山と対戦。押し出したが、だめ押しを犯して即座に土俵下の松ケ根審判長(元大関若嶋津)から注意された。場所前には鏡山審判部長(元関脇多賀竜)からも指摘された。
盤石ではなくとも、横綱に求められる品格は損なわなかった白星。鏡山審判部長も「いい方向に向いてくれれば。上を目指すにはそうしていかないとね」と、“改心”を歓迎した。
勝ち星の昇進目安は優勝争いを演じての13勝以上。国技館での声援もいつになく大きく「力になりますね」と意気に感じている。この日の朝稽古では部屋に訪れた後援者の子供に「テレビでぼくを応援してね」と笑顔で話すなど、過去2度の綱とり場所にはない余裕がある。「1日1日ベストを尽くすだけ」。迷いなく前を向いた。