日馬富士、来日記念日に大逆転8連勝
「大相撲秋場所8日目」(16日、両国国技館)
綱とりに挑む大関日馬富士は、関脇妙義龍を逆転の首投げで下して、無傷の8連勝で勝ち越しを決めた。この日は12年前に初めて来日したという記念日。悲願の横綱へ、順調に歩みを進めた。ストレート給金は横綱白鵬、大関稀勢の里、平幕の旭天鵬と高安を加え5人。中日まで5人以上が全勝なのは1989年春場所(横綱の北勝海、千代の富士、大乃国。大関の旭富士、北天佑、小錦)以来、23年ぶり。
12年前初来日 危機一髪だった。日馬富士が妙義龍に逆転勝ち。立ち合いから「うまく中に入られた」ともろ差しを許し、一気に押されたが、とっさの首投げが決まった。「ヒヤッとする余裕もなかった。体がよく反応した」と、2秒7の劇勝を振り返った。
記念日を白星で飾った。12年前の00年9月16日、モンゴルから来日し、初めて部屋を訪れた。大成せず角界を去った虎の山、大鷹浪とともに関西国際空港に到着。新幹線で上京した。ドル紙幣しか持たず、車内で買い物ができなかったという。
「雨が降っていたね。蒸し暑くて日本の道路が狭く感じた。大阪から東京まで、すごくおなかがすいていた」。苦労を乗り越え、横綱を目指す今場所。「今は道路が広く感じるから不思議だね。よく頑張ったなと思う」と、感慨に浸った。
幕内では自身4度目のストレート給金。過去3回はいずれも優勝している。3場所をまたいでの24連勝は、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の最長連勝数に並び「負けないのは気持ちいい」と話した。師匠は「もっと伸ばしてほしいね」と期待した。
この日の両国は夏のように蒸し暑く、雨も降った。取組を終え車に乗り込む際、また12年前を思い起こし「そうだね。うれしいね」と、口にした。横綱という大きな夢へ、その思いを一層強くした。