日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会（横審）が２４日、両国国技館で開かれ、秋場所で２場所連続全勝優勝を果たした大関日馬富士（２８）＝本名ダワーニャム・ビャンバドルジ、モンゴル出身、伊勢ケ浜＝を満場一致で横綱に推挙し、昇進が事実上決定した。２６日の九州場所（１１月１１日初日・福岡国際センター）の番付編成会議と理事会で昇進が正式決定する。新横綱の誕生は０７年の白鵬以来５年ぶりで、史上７０人目。伝達式の口上には、大関昇進の際と同じ、身上でもある「全身全霊」を使うことが決まった。

　午後５時３０分の横審開始から２５分。東京・江東区の伊勢ケ浜部屋で、硬い表情で待つ日馬富士の携帯電話が鳴った。緊張でせき込みながら「ありがとうございます…ごっちゃんです」。関係者からの吉報に、満面の笑みを浮かべた。

　全勝優勝から一夜明け、午前中の会見では「横綱は遠い雲の上の神様みたい」と話した。その第７０代横綱に自身が立つ。「うれしい。まだ何が何だかよく分からない」。横綱像を問われると「わたしはわたし。自分の相撲で頑張る」と、プライドものぞかせた。

　２６日の番付編成会議と理事会で昇進が正式決定する。使者が訪れ、昇進伝達式に入る。四字熟語が定番となっている口上については、大関昇進時と同様に「全身全霊」を使う。師匠の伊勢ケ浜親方（元横綱旭富士）が「それは入る。本人らしい言葉じゃないか」と認めた。

　秋場所中にも、連日「全身全霊」を繰り返した。幕内２番目、１３３キロの軽量ながら、突き刺さるような立ち合いが生命線。まさに日馬富士を表す言葉だ。

　伊勢ケ浜親方によると、もう一つ四字熟語が加わる可能性があるという。かつて、貴乃花は大関昇進時に用いた「不撓不屈」に、横綱昇進時は「不惜身命」を加えた。貴乃花以来の２場所連続全勝優勝で横綱昇進を決めた、その経緯にも合う。

　日馬富士は「大関の時みたいに、おかみさんと相談したい」と控えめに述べた。抱負を問われると「これまでも、皆の見本となれるよう、自分なりにやってきた。これからもやれることをしっかりやって、自分らしく生きていきたい」と、表情を引き締めた。