日馬富士、奉納土俵入りで不知火型披露

 大相撲の第70代横綱に昇進した日馬富士(28)=伊勢ケ浜=の、推挙式と奉納土俵入りが28日、東京・明治神宮で行われた。推挙式では北の湖理事長(元横綱)から推挙状と真新しい綱が渡され、土俵入りでは安美錦を太刀持ちに、宝富士を露払いに従え、集まった3000人を前に不知火型を披露した。

 心配された雨は降らず、曇天の下に新横綱日馬富士が立った。「よいしょ!」。しこを踏むたびに響く大合唱。不知火型独特の両手を翼のように広げるせり上がりも無難にこなし、記念すべき初めての土俵入りは礼から礼まで1分53秒。「日本一!」の声もかかった。

 前日の稽古ではNGを連発したが、本番ではよどみなかった。前夜は家族の前で練習し、師匠で同じ不知火型の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の映像を20回以上見たという。緊張をはねのけ「気持ち良かったです。親方のように美しい土俵入りを目指しました。一つ一つの動きに集中してやりました。一つ一つに深い意味がありますから」と、晴れ晴れとした表情だった。

 伊勢ケ浜親方も「緊張してたね。オレも緊張したよ。無事終わって良かった。上出来だよ。90点」と笑顔をみせた。

 三つぞろいの化粧まわしは、師匠が現役時代に用いたものを使用。新横綱として臨む九州場所(11月11日初日・福岡国際センター)に向けては、3セットが製作される予定だ。東京後援会からは自動車メーカー・スズキによる富士山の異なる景色が彩られたもの、化学メーカー・カネカによる歌舞伎の白酒売りの場面を表現したものが贈られることが判明。神奈川後援会からは「天、地、仁」の文字が入ったものに決まっている。

 新たに製作中の太刀の鞘(さや)や柄の部分は明治天皇の父、孝明天皇を護衛する侍が用いたものを使用。刀身は東京都無形文化財に認定されている3代目吉原国家氏に依頼している。

 高まる期待の中、日馬富士は「今まで通り稽古に集中して、横綱の責任を果たせるよう、これまで通り頑張りたい」と気を引き締めた。

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