日馬富士 菅原道真の子孫からエール
大相撲の新横綱日馬富士(28)=伊勢ケ浜=が2日、福岡県太宰府市の太宰府天満宮で奉納土俵入りを行った。菅原道真を祖先にもつ同天満宮の西高辻信良宮司(59)は、新横綱に自らの経験をもとに助言した。時を超えて「学問の神」の遺伝子が紡いだ金言を胸に、新横綱が九州場所へ臨む。
観衆約2000人からの大声援。日馬富士は「運命と皆さんの応援に感謝しながら、心を込めて土俵入りをしました」と感慨を述べた。太刀持ちに小結安美錦、露払いに幕内旭日松を従え、力強い不知火型を披露した。
太宰府天満宮の敷地内に部屋の宿舎がある縁で、福岡入り後、初の土俵入りが実現。本殿で昇進奉告も行われた。伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が部屋を興して以来、九州場所の宿舎を提供し20年。節目の記念日に、部屋の九州後援会会長も務める西高辻信良宮司は「菅原道真も喜んでいる」と、先祖の名を挙げた。
「学問・至誠・厄除けの神様」として知られる菅原道真。直系の子孫であり、第39代目にあたる西高辻宮司は「初めから横綱像に合わせるのではなく、日馬富士は自分の相撲を取ってほしい。食事の席ででも伝えたい」と話した。
西高辻宮司は29年前、30歳で現地位に就いた。「わたしはまだ若く、宮司像との溝が大きくて悩んだ。時がたってだんだんと溝が埋まっていった」という経験から出た助言。昇進後は聖人のようになった新横綱だが、気迫あふれる相撲まで変わる必要はないということだ。
2場所連続の全勝優勝で昇進した日馬富士。次は貴乃花以来の新横綱優勝が期待され「横綱の責任を果たして、全身全霊でぶつかりたい」と誓った。助言はきっと、支えになるはずだ。