日馬富士ホッ…“汚名返上”へ白星発進

 「大相撲初場所初日」(13日、両国国技館)

 横綱日馬富士が小結栃煌山を慎重に寄り切った。新横綱として臨み、9勝6敗と不振を極めた九州場所からの連敗を5で食い止め、横綱史上ワースト記録を免れた。横綱白鵬も小結松鳳山を一方的に押し倒し、横綱、大関陣は安泰だった。大関復帰を目指す関脇把瑠都は、豊響を上手投げで退けた。

 負の連鎖を断ち切った。栃煌山を寄り切った日馬富士は「自分の相撲を取るだけ。今日の一番に集中した」と、厳しい表情で話した。5連敗で終えた先場所。横綱史上ワーストの6連敗を免れたが、気を緩めることはなかった。

 立ち合いで押し込まれたが、頭をつけ、下からの攻めでばん回。左右の張り手から右上手をつかむと、相手の引き技に乗じて寄り切った。得意の速攻は陰を潜めたが、北の湖理事長(元横綱)は「いい相撲だった。栃煌山の右を使わせず、自分の流れになった」と評価した。

 観戦した横綱審議委員の鶴田卓彦委員長(元日本経済新聞社会長)は「勝ってホッとした。ヒヤッとしたけれど、良かった。まだ力は残っている。落ち着いて自分の相撲が取れるようになるだろう」と話した。

 新横綱として臨んだ九州場所は、両足首を痛めて立ち合いの鋭さが消えた。苦戦を強いられ、新横綱としては史上初の5連敗を含め、9勝6敗に沈んだ。鶴田委員長からは「横綱の資格がない」と酷評され、歌舞伎役者の沢村田之助委員からは、初場所も9勝以下なら「もう、引退(勧告)ですよ」と批判された。

 年が明けても両足首の痛みは残り、発熱で稽古を休むこともあった。体調管理の不備を注意した師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「稽古は足りていない。不安はあるが、横綱は自分で結果を残すしかない」と突き放した。

 千秋楽で白鵬との全勝対決を目標に掲げている。この日の朝には、自身の締め込みに塩を盛って清め、本場所への準備を整えた。汚名返上となる優勝へ、全身全霊で挑む。

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