「大相撲初場所８日目」（20日、両国国技館)

　ただ一人全勝の横綱日馬富士は、臥牙丸を引き落としで破って８連勝。ストレートでの勝ち越しを決めて単独トップを守った。横綱白鵬も魁聖に左からの上手投げで快勝。がっちり１敗をキープ。平幕では、玉鷲を破った宝富士が１敗で追走する。元大関雅山は、富士東に敗れて８連敗で負け越した。

　偉大な大横綱にささげる弔いの白星だ。日馬富士は鋭い立ち合いから幕内最重量２１２キロの臥牙丸に圧力をかける。相手が反撃してきたところを素早く回り込み、最後は臥牙丸の右腕を手繰りながら引き落とした。「焦らずに、冷静に、集中して自分の相撲が取れている。８連勝？気分もいいですね」と落ち着いた表情で話した。これで自身５度目となるストレートでの勝ち越し。過去４回はすべて優勝しており、Ｖ確率１００％の心強いデータが後押しする。

　横綱として元横綱大鵬の納谷さんの訃報に衝撃を受けた。朝稽古を終えると、黒の紋付き姿で大嶽部屋へ弔問に出向いた。圧倒的な強さで角界の頂点に君臨した名横綱の亡きがらに手を合わせ、「お疲れさまでした。ご苦労さまでした」と哀悼の意を示した。大関時代に納谷さんから“頑張れよ。無理をするなよ”と激励されたことが思い出。「うれしくて、やる気、勇気をもらいました」と、しみじみと語る。

　横綱としてあいさつに行けなかったことが唯一の心残りだが、横綱としての初Ｖを報告することが何よりの手向けになる。「大鵬さんを目標に頑張って、恩返しをしたい」。その目にはもう賜杯しか見えていない。