大横綱・大鵬の志は孫たちが受け継ぐ

 史上最多の幕内優勝32回を誇る元横綱大鵬の納谷幸喜(なや・こうき)さんが心室頻拍のため72歳で死去してから一夜明けた20日、遺体が安置される東京・江東区の大嶽部屋で、芳子夫人(65)が昭和の大横綱との思い出や最期の様子を明かした。またこの日、通夜は30日午後6時から、葬儀・告別式は31日午前10時から、いずれも青山葬儀所(東京・港区)で営まれることが発表された。

 芳子夫人は、まだ悲しみに浸る余裕はない様子だった。「全部に感謝したいです。厳しい人でしたけど、その分、情があって優しかった」‐。7歳年上の納谷氏とは、19歳のときに結婚。46年間の思い出を、涙は見せず気丈に話した。

 納谷氏は、亡くなる直前の数日、夜中であってもしきりに芳子夫人に電話をかけて「芳子、大好きだよ」と伝えていたという。亡くなった日の朝8時過ぎには「早く、早く来てくれ」と病床から電話。1時間半後に夫人が駆けつけたときには、すでに意識がなかったという。

 大横綱の志は、孫が受け継ぐ。三女・美絵子さんと、元貴闘力の鎌苅忠茂氏(後に離婚)との間に生まれた次男・幸林(たかもり)くん(中3)、三男・幸之介くん(中1)、四男・幸成(こうせい)くん(小5)は、角界入りを目指して日々精進中。幸林くんは小学校時代の文集に、偉大な祖父を超えるという大きな目標を記した。

 葬儀は、日本相撲協会関係者が参列しやすいように、初場所後に行われる。協会の北の湖理事長(元横綱)は、葬儀・告別式の際、出棺後に両国国技館に立ち寄れるよう配慮する考えだ。

 納谷氏は、最後までありったけの愛情を注いだ。「介護士がいても、私じゃないとダメだった。大変だったけど、すごくうれしかった」と芳子夫人。最愛の人と歩んだ人生は、幸せと喜びに包まれていた。

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