稀勢の里、いくぞ2差奇跡の大逆転V
「大相撲初場所12日目」(24日、両国国技館)
7年ぶり日本人力士優勝へ‐。奇跡の2差逆転Vへ、大関稀勢の里が横綱日馬富士の全勝阻止に燃える。ただ一人全勝の日馬富士は大関琴奨菊をはたき込み、12連勝で単独トップをキープ。横綱白鵬が大関琴欧洲に敗れたため、1敗力士がいなくなった。13日目に白鵬、平幕の高安が敗れ、日馬富士が2敗の稀勢の里との直接対決に勝てば、日馬富士の2場所ぶり5回目、横綱としての初優勝が決まる。
優勝争いの興味を最後までつなげるためにも、そして自身の逆転Vへ望みをつなげるためにも、絶対にここで負けるわけにはいかなかった。稀勢の里が鶴竜との大関対決を一気の寄り切りで快勝。13日目の日馬富士戦へ弾みをつけるとともに、全勝の横綱に土をつけることで初優勝の可能性を広げる。
迷いはなかった。立ち合いで突っ込んでくる鶴竜の突進を右からの張り差しで止めると、左を差して右のまわしをしっかりとつかんだ。こうなれば、もう前進あるのみ。土俵際で鶴竜が右から突き落としを狙ったが、勢いのついた稀勢の里は倒れ込みながら寄り切った。「体を預けていった。最後も余裕があったと思う」と勝負が決まったシーンを冷静に振り返った。11日目の魁聖戦では押し込まれるシーンにヒヤリとしたが、この日は持ち前の馬力を生かした白星。「まあ、気持ちいいですよね」と心地よさそうに汗をぬぐった。
13日目は独走する日馬富士との直接対決だ。15日制では、12日目終了時点で2差を逆転したケースは過去に3例ある。1967(昭和42)年九州場所の佐田の山、99年初場所の千代大海、そして05年秋場所の朝青龍だ。北の湖理事長(元横綱)も「ここでの2差は大きいが、まだ分からない。稀勢の里がカギを握ると思う」と優勝争いのキーマンに指名。稀勢の里は「横綱戦?思い切っていきます」とキッパリ。06年初場所の栃東(現玉ノ井親方)以来の日本人力士優勝へ、乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負をかける。