貴親方“恩師”大鵬さんの教え伝承する

 32回の最多優勝を誇る元横綱大鵬で、1月19日に心室頻拍のため死去した納谷幸喜さん(享年72)に国民栄誉賞が授与されることが15日、政府の閣議で正式に決まった。同賞は21例目。大相撲では1989年に受賞した横綱千代の富士(57)=現九重親方=に続き2人目。授与式は25日に首相官邸で行われる。春場所担当部長を務める貴乃花親方(40)=元横綱、横綱白鵬(27)=宮城野=らが受賞を喜び、納谷さんへの敬意を改めて口にした。

 貴乃花親方が納谷さんとの秘話を明かした。納谷さんは相撲界の歴史に造詣が深く、貴乃花親方は横綱に推挙された後、サインの作法を伝授された。「手形の上に墨字(で四股名)を書いてしまうのは違うんだ。かからないようにして、横に小さく書くのが正しいんだと。すごく大事なことですよね」。相撲人としての正しい所作は、今も実践している。

 また、稽古についても教えを受けた。「ウエートトレーニングとかで力士の体は強くならない。四股、てっぽう、すり足、基本のけいこをやった後にやるべき。そうじゃないとけがが増える」。親方自身も現役時代から基本けいこを徹底しており、これには「全くその通りですね」と同感した。

 今は協会の理事として、全力士を指導する立場。大横綱からの金言は、後進の育成に生かしている。「歴史に名を刻む大横綱。人柄も温厚で、後輩にも優しかった。できれば、生前にいただけたら、大鵬親方もすごく喜ばれたと思う」。恩師の教えを後世にも伝えていく。

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