日馬富士、初東横綱で白星発進
「大相撲春場所・初日」(10日、ボディメーカーコロシアム)
自身初めて東横綱に就いた日馬富士は、小結栃煌山を冷静に上手出し投げで退けた。土俵入りでは所作を間違う場面もあったが、取組では無難に白星を挙げた。一方、19場所ぶりに西に移った横綱白鵬は、小結安美錦に苦戦しながらも小手投げで逆転。両横綱が対照的なスタートを切った。稀勢の里ら4大関も勝った。“荒れる春場所”とされるが、大入りとなった初日は上位陣安泰だった。
日馬富士が危なげなく白星発進した。立ち合いからもろ手突きで栃煌山を受け止め、体を開いて相手の体勢を崩し、上手出し投げで仕留めた。「相手の動きがよく見えた。一気に前に持っていけなかったが、悪くはない」と納得の表情だ。
初場所で5度目の優勝を全勝で飾り、角界の頂点を意味する東横綱に就いた。「今日の一番に集中した。雰囲気を味わっている余裕はない」と、自覚をにじませた。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「同じ横綱でも東は(西とは)違う。気合も入るし責任も伴う。もう自分でつくっていかないと。わたしがうるさく言う必要はない」と、弟子にすべてを任せる方針を明かした。
日馬富士は中入り後の賜杯返還式で肩を痛めた北の湖理事長(元横綱)の代理を務めた伊勢ケ浜親方に賜杯を手渡した。千秋楽の賜杯授与も師匠が代理で行う可能性があり「気持ち良かった。いつか親方から賜杯をいただきたい」と、連覇を誓った。
不知火型の土俵入りでは所作を間違えた。最後に土俵中央から東方に下がり、再び西に向き直る際、西方だった先場所と同じ足の運びで体を入れ替えたため、正面にお尻を向けてしまった。大きな間違いではないが「なんだろうね」と苦笑い。土俵入りをマスターして連覇を飾れば、東の横綱が似合うようになるだろう。