白鵬3・11に被災地支援へ決意新た

 「大相撲春場所2日目」(11日、ボディメーカーコロシアム)

 東日本大震災の発生から2年がたった。同じ3月11日に28歳の誕生日を迎えた横綱白鵬は、高安を一方的に寄り切って2連勝。積極的な被災地への支援活動の継続と、被災地の子どもたちへの思いを一層強くした。連覇を目指す横綱日馬富士は栃ノ心を寄り切り、大関鶴竜は小結安美錦を押し出した。一方で稀勢の里、琴奨菊、琴欧洲の3大関は早くも黒星を喫した。

 白鵬は横綱である限り避けられない宿命がある。3月11日。「忘れた方がいいこともある。けれど震災は絶対に忘れてはいけない」。祝い事だった誕生日が、日本中で犠牲者を悼む日になった。

 しかし使命感を得た。「子どもたちをバックアップしたい。その中で、わたしが元気な姿を見せられれば」。相撲に取り組む子どもたちを支援し、本場所では賜杯を抱くことを己に課した。

 この日は高安を鋭い立ち合いから、右を差し左上手を取る万全の形で一方的に寄り切った。「しっかり前に出られた」と、うなずく完勝だった。

 自身が会長を務め、十両以上の力士で構成する力士会を通して、昨年4月に岩手県山田町に約1000万円をかけ土俵を寄贈した。年内には宮城県気仙沼市にも、同様に土俵が新設される。来年には福島県内にも土俵を寄贈する目標もある。

 白鵬は常々「相撲が終われば、この国は終わる」と公言する。「(被災地で)相撲を取る子どもたちは精神的にも肉体的にも強くなるだろう。どういう道に進むか分からないが、将来は国を引っ張ってほしい」と期待を寄せた。

 協会では震災が発生した午後2時46分、春場所担当部長の貴乃花親方(元横綱)らが黙とうをささげた。北の湖理事長(元横綱)は「震災に遭われた方を勇気づけられるよう努力している」と、白鵬はじめ力士会の活動に敬意を示した。

 2場所ぶりの賜杯を目指す白鵬。「今日はいい相撲を取りたかったからね」と力強く前を向いた。

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