日馬、故郷の音色で闘志復活!逆転星
「大相撲春場所9日目」(18日、ボディメーカーコロシアム)
横綱日馬富士は関脇把瑠都に押し込まれながら、逆転の突き押としを決めて6勝目を挙げた。前日に今場所3つ目の金星を配給して自信を喪失していたが、朝稽古後に故郷の民族音楽の生演奏を聴いて闘志を取り戻した。横綱白鵬は豊ノ島を引き落として9連勝とし、単独トップを守った。2敗は6人が敗れ、大関琴奨菊と平幕の隠岐の海に絞られた。
日馬富士が辛くも連敗を免れた。自身と同じ前傾姿勢で仕切って気合十分の把瑠都に、一気に押し込まれた。だが、両膝を折り、上体をそらせながら右一本で相手の左脇を押し上げ、把瑠都を土俵下に突き落とした。
最後の体勢を「『マトリックス』みたいでしたか」とキアヌ・リーブス主演の映画になぞった横綱。「相手の相撲。お客さんは喜ぶけど自分は危ない」と反省した。
この日の朝、稽古場のある大阪市内の公園に姿を見せた日馬富士は自信を失っていた。手にしたパンをちぎってまいても、ハトが近づいて来ない。「あれれ、弱い横綱の餌は欲しくないのかな」と自虐的に笑った。8日目には豊ノ島に3つ目の金星を配給。「やる気なくなるな。全勝したり負けすぎたり。波が大きすぎる」と嘆いた。
だが、稽古後に名古屋在住の馬頭琴(モンゴルの民族楽器)奏者で、親交があるアマルバヤル氏が激励のため訪問。土俵のそばで生演奏を披露された横綱は「これだけ応援してもらって、情けないし申し訳ない。喜んでもらえるように頑張ります。信じてください」とやる気を取り戻した。
この逆転星をきっかけに、横綱の意地をみせたいところだ。