隠岐の海が2敗守る「千秋楽に横綱と」

 「大相撲春場所11日目」(20日、ボディメーカーコロシアム)

 東前頭7枚目隠岐の海は千代の国を寄り切って9勝目。整った顔立ちで人気があり、大器と期待され続けた27歳が、ただ一人の2敗を守った。大関琴奨菊を難なく寄り切り、11連勝で24度目の賜杯を狙う横綱白鵬を追走する。横綱日馬富士は関脇豪栄道を上手投げで退け、勝ち越しを決めた。大関陣では稀勢の里が7勝目、鶴竜も6勝目を挙げて白星が先行したが、琴奨菊は4敗目を喫した。

 ただ前へ。今場所のテーマ通りに隠岐の海が右下手を取って前進。逆転を狙う千代の国の首投げに右足を浮かせながらも耐え、左手で右足を抱えながら下手を引いて寄り切った。「危なかった。気をつけないと。でも体は動いている」。ひょうひょうと振り返った。

 敗れていれば、12日目に白鵬が74年ぶりのスピード優勝を決める可能性があった。低迷する上位陣に代わって場所のともしびを守り、「三賞も三役も全部狙う。千秋楽に横綱とやりたいです。かなわぬ夢でしょうが」と、このまま白鵬との優勝決定戦を思い描く。

 師匠の八角親方(元横綱北勝海)は「いくら言っても稽古が足りない。荷が重い」と常に厳しく評価する。ただ、部屋付きの谷川親方(元関脇北勝力)は「それは期待の裏返し。稽古をしているから、あの体つきになる」と擁護する。

 トレーニングが趣味。アームレスリングの日本代表を目指している谷川親方からも指導を受ける。今場所からは重い負荷ではなく、軽い負荷で回数を増やす方法に変えて、場所に臨んだ。

 190センチ、154キロの恵まれた体格で、腰の重い四つ相撲が特徴の27歳。太い眉が特徴的なイケメンで、故郷である島根県隠岐の古典相撲を題材にした映画「渾身 KON‐SHIN」にも力士役で出演している。

 部屋付き親方の君ヶ濱親方(元関脇北瀬海)は、今年7月に65歳の定年を迎える。隠岐の海は3年前に定年までの大関昇進を誓ったが、代わりに自身初の三役を報告するつもりだ。「三役はやはり別格。上がれば自分の相撲も変わるかもしれない」。未完の大器が“覚醒の時”を迎えようとしている。

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