「大相撲春場所千秋楽」（２４日、ボディメーカーコロシアム）

　元大関で東十両９枚目の雅山（３５）＝本名・竹内雅人、茨城県出身、藤島部屋＝は取組後に会見し引退を表明。今後は年寄「二子山」を襲名し、部屋付き親方として後進の指導に当たる。

　不屈の１５年間だった。雅山は鬼嵐を押し倒したが、３勝１２敗で幕下転落が確実となり、師匠の藤島親方（元大関武双山）に引退の意思を伝えた。

　会見では「まだ気力はあるが、体がついていかない」と説明。印象深い取組として、左足の大けがで大関陥落後に復帰した０２年春場所初日の玉春日戦、８連敗から脱した１３年初場所９日目の玉鷲戦、そしてこの日の鬼嵐戦を挙げた。「３番とも苦しい中での勝利だったので」と振り返り、涙をこぼした。

　初土俵から４場所連続優勝で新入幕。所要１２場所の大関昇進は、幕下付け出しデビューでは昭和以降１位のスピード出世。大関陥落後に６８場所現役を続けたのも、昭和以降では最多だ。十両に陥落しても両膝に厚いテーピングを施し、限界説に背を向けた。「またはい上がっていく気持ちだった」と振り返った。

　力強い突き、押しが衰えても、小刻みな突きと引き技で奮闘。観戦した侑加夫人と２人の息子に最後の白星を届け、今後は二子山親方として「ほかの人にない経験を生かしたい」と誓った。