白鵬、大鵬に捧ぐ全勝V 観客と黙とう

 「大相撲春場所千秋楽」(24日、ボディメーカーコロシアム)

 “角界の父”に捧げた‐。24度目の優勝を決めていた白鵬は、日馬富士との横綱対決を上手投げで制し、10年秋場所以来14場所ぶりの15戦全勝優勝を達成した。9度目の全勝優勝は双葉山と大鵬を抜く単独最多。優勝インタビューでは自らが呼びかけ、場内の観客とともに、元横綱大鵬の故納谷幸喜さんへの黙とうを行った。また、元大関で東十両9枚目の雅山(35)=本名・竹内雅人、茨城県出身、藤島部屋=は取組後に会見し引退を表明。今後は年寄「二子山」を襲名し、部屋付き親方として後進の指導に当たる。

 前人未到の大記録を、比類なき方法で天国に伝えた。優勝インタビューのラスト。白鵬が「先場所やりたいことがあったんです」と申し出た。

 インタビュアーに「時計持ってますか」と尋ねてから「大鵬さんに優勝をささげたい。皆さんで黙とうを1分間、いいですか」と訴えた。観客に起立を促し、全員で黙とう。1分後、顔を上げた白鵬の両目から涙がこぼれた。双葉山、大鵬を抜き単独史上1位となる9度目の全勝優勝。「両横綱は憧れであり、愛している。2人の上に立つのは恐縮だが、光栄です」と、喜びをかみ締めた。

 初場所中の1月19日に“角界の父”と慕う元横綱大鵬、納谷幸喜さんが死去。紗代子夫人は「先場所、優勝を捧げたいと話していました。1場所遅れましたが、大鵬さんに伝わったのでは」と、その胸中を代弁した。

 先場所に全勝優勝を許した日馬富士との横綱対決。左四つで胸を合わせ、下手投げで相手を崩してから得意の右四つに移行。力を誇示するような上手投げで下した。「もう怖いものはない。いい相撲を取ろうと思った」と、納得の表情だった。

 千代の富士を抜く単独最多の26度目のストレート給金。北の湖に並ぶ歴代最多37場所連続2桁勝利。北の湖に並ぶ歴代4位24回目の優勝。記録ずくめの場所で、「もうできないのでは」と弱気になっていた全勝優勝の称号も取り戻した。

 大鵬の持つ32回の最多優勝記録に並ぶことを「恩返し」と決めている白鵬。夏場所に向けて「昭和の名横綱、北の湖理事長に並んだので、次は朝青龍関の25回に並びたい。謙虚な気持ちでいきたい」と、誓いを新たにした。

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