蒼国来に荒汐親方「よく頑張った」
大相撲の八百長問題で解雇処分となった元幕内蒼国来(29)=本名恩和図布新(おんわとうふしん)中国出身=が、東京地裁で解雇無効の判決を勝ち取った地位確認訴訟から一夜明けた26日、所属していた荒汐部屋の師匠、荒汐親方(57)=元小結大豊=が大阪府豊中市の春場所宿舎前で取材に応じた。また、日本相撲協会は4月3日に理事会を行うと発表。控訴断念を正式決定する公算が大きく、元蒼国来の現役復帰が認められることになりそうだ。
解雇無効を勝ち取った“愛弟子”。その胸中を察し、師匠の荒汐親方(元小結大豊)は「長かったろうな。よく頑張った、と声を掛けてやりたい」と、涙をこらえた。
元蒼国来の土俵復帰は確実の情勢。本人は「一日も早く土俵に戻りたい」と熱望するが、荒汐親方は慎重だ。「ジムに通ったりしていたが、相撲の稽古はしていない。2場所ぐらいは休ませたい」と述べた。復帰が認められても、本場所の土俵復帰は早くても秋場所(9月15日初日、両国国技館)になりそうだ。
02年に時津風部屋から独立し、荒汐部屋初めてで唯一の関取が元蒼国来だった。2年前に解雇されてからも食事をするなど交流は続け、「師範代」として部屋の一員と扱っている。元蒼国来の個室、化粧まわしや締め込みも丁寧に保存されているという。相撲協会の特別調査委員会に対しては「疑問を持ったことがある」と述べた。
当初は調査対象ではなかった元蒼国来。関係者によると当時、ある特別調査委員の前で、一連の八百長の仲介役だった元幕下恵那司と元竹縄親方(元幕内春日錦)の供述のみに頼る調査を、激しく糾弾したのが荒汐親方だったという。当時の八百長関与認定について「あれで調査委員の心証を悪くしたのが一因では」と話す関係者もいる。今回の判決では2人の供述の信頼性がないとされ、解雇無効となった。
荒汐親方は27日に帰京予定。部屋の稽古再開は4月1日から。元蒼国来について「早く稽古をさせてやりたい気持ちです」と話した。