胸いっぱい武蔵川親方、5年で関取を
大相撲の新生武蔵川部屋が24日、本格的にスタートを切った。東京・江戸川区の部屋に真新しい看板が設置され、元横綱武蔵丸の武蔵川親方(41)=米ハワイ州出身、本名・武蔵丸光洋=は感激を口にした。外国出身では元関脇高見山の先代東関親方(米国出身)以来の外国出身部屋持ち師匠は、5年後までに関取を誕生させる青写真を描いた。
力強い書体の看板を見上げた武蔵川親方は「雰囲気が変わったね。相撲部屋らしくなったよ。泣きたいぐらい、胸いっぱいだよ」と感慨に浸った。縦60センチ、横200センチ、幅4・5センチ、重さ約60キロ。知人のデザイナーで、長渕剛のコンサートグッズなどを手がけた左右田薫氏が書体を手がけた。
昨年6月に、おいのフィアマル・ペニタニ(18)が故郷の米ハワイ州から力士を目指して来日し、藤島部屋に体験入門。「自分で育ててみたい」と志し、今年4月1日付で藤島部屋から独立し、この日に至った。「オレの性格と一緒。コミュニケーションをしっかり取って、明るい部屋にしたい。ちゃんと稽古して基本をしっかりさせたい」と語った。
序ノ口の森宗、先場所前相撲を取った岡本、5月1日の新弟子検査を受けるフィアマルと大阪出身の荒井竜希(18)は、皆が本格的な相撲経験がない。それでも「オレもそうだったけど、素人の方がいい。一生懸命に覚えようとするから」と前向きで「5年で関取を出せれば」と夢を語った。
この日はうれしいハプニングもあった。朝、事前連絡なしで入門希望の21歳の青年が部屋を訪ね、週明けから稽古を見学するという。角界志願者が減少する中、幕内優勝12回を誇る親方の知名度は大きな武器だ。
稽古場には自身の、そして先代武蔵川親方(元横綱三重ノ海)の優勝額が飾られた。「武蔵川の名前は重いよ。先代以上に頑張らないと」。自身の師匠だった先代の信条「我慢と努力」を、次代に伝えていく。