23年ぶり珍事!4大関初日から4連勝
「大相撲夏場所4日目」(15日、両国国技館)
23年ぶりの“珍事”が起こった。稀勢の里は小結栃煌山を、鶴竜は妙義龍を、かど番の琴欧洲は関脇把瑠都にそれぞれ辛勝。宝富士を速攻で寄り切った、琴奨菊の充実ぶりが際立った。4大関がそろって初日から4連勝としたのは、1990年夏場所に初日から7連勝した小錦、霧島、北天佑、旭富士以来。両横綱は安泰で白鵬が4連勝、日馬富士が3勝目を挙げた。
電光石火だった。立ち合いで右を差した琴奨菊が一気に前へ。2秒0で宝富士を寄り切った。本来は左四つだが、右脇の甘さを矯正するため、稽古では右差しを多用。「意識したことをしっかりやれた。相撲の幅を増やす感じです。つかみかけていたものをやらないとね」と進歩を実感した。
他の3大関が辛勝だっただけに、琴奨菊の相撲が際立った。自身の初日から4連勝は昨年夏以来。その場所は7勝目を挙げた8日目の豊響戦で左膝を負傷した影響で、10勝にとどまった。以降は休場もあり低迷。最近は3場所連続で8勝7敗。婚約解消もあった。
そんな苦境の中、親交が深いプロ野球ソフトバンクの本多、松田、内川、山崎から励まされてきた。「成績が良くないときほど連絡が来るんです。九州(場所)でしか会えないので、一回り大きくなって会いたい」。11月に故郷福岡で、胸を張って再会するつもりだ。
この日は師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)の45歳の誕生日。「店で一番大きなケーキを届けます。でも勝つことが一番喜んでくれるかな」。朝稽古後の約束通りの白星でもあった。
90年夏場所は4大関が7連勝し、旭富士が横綱千代の富士を抑えて優勝。翌場所も優勝し、横綱昇進を決めた。「やるべきことをやれなければ意味がない」と気を引き締めた琴奨菊。飛躍の夏場所にしてみせる。