稀勢止まらん!日馬圧倒12連勝
「大相撲夏場所12日目」(23日、両国国技館)
06年初場所の栃東以来、日本出身力士の優勝を目指す大関稀勢の里は、横綱日馬富士を力強く寄り切って12連勝。横綱白鵬も大関鶴竜を寄り切り、無敗を守った。賜杯争いは全勝の2人と、2敗に後退した鶴竜の3人に絞られ、3敗の日馬富士は優勝の可能性がなくなった。
稀勢の里の勢いは本物だ。日馬富士を圧倒した。立ち合いで左肩から当たり、右を深く差して前へ。最後はもろ差しになり、横綱の右を“バンザイ”させ、寄り切った。大歓声で座布団が舞う中、悠然と花道を引き揚げた。
稀勢の里は「思い切っていこうと思った。ああいう形になって良かった」と、表情を変えず話した。白鵬とともに無傷の12連勝にも「まだ、ここからじゃないですか?」と満足せず、悲願の優勝だけを見据えた。
緊張すると、仕切り前にパチパチと激しくまばたきを繰り返す。今場所はその回数が激減し、この日もそうだった。控えに座っている時、前の取組で碧山と琴欧洲が近くに落ちてきたが、動じなかったほど、落ち着きが際立っている。
北の湖理事長(元横綱)は立ち合いを勝因に挙げ「今場所で一番いい。踏み込み、当たり、角度。なんで今までこれが取れなかったんだ!?」と絶賛した。日本出身力士として、最後に優勝した玉ノ井親方(元大関栃東)は「これで白鵬にもプレッシャーはかかってくる」と断言した。
注目されることへの重圧を問われたものの「そうでもないです」と言ってのけた。白鵬戦は14日目が確実。その落ち着いた口調に、期待は高まるばかりだ。