稀勢惨敗V逸「今日で台無しですね」
「大相撲夏場所千秋楽」(26日、両国国技館)
優勝の可能性が残されていた大関稀勢の里は、大関琴奨菊に寄り倒されて13勝2敗となり、来場所は綱とりがかかるもののレベルの高い優勝が求められることとなった。
悔いが残った。稀勢の里は、琴奨菊に一方的に寄り倒された。約25分間も風呂場に入った後「今日で台無しですね」。目をつぶり、首を振った。自己初の無傷13連勝と、14日目の白鵬との名勝負。覚せいの時を迎えようとしただけに、己を許せなかった。
立ち合いで頭からぶつかったが、もろ差しを許した。満員の国技館にため息が充満した瞬間、優勝の可能性が消滅し「そういう気持ちで臨んだが…」と、やり切れない表情で話した。
それでも、名古屋場所では自身初の綱とりがかかる。前日に14勝で綱とりと明言していた北の湖理事長(元横綱)。13勝にとどまり「もう1番欲しかった」と残念がったが「2差ついたが(優勝に)準ずる成績に見える。次の場所による。優勝しても12勝辺りだと厳しい」と続けた。高いレベルの優勝ならば、昇進を推す意向を示した。
伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「準優勝でも2つ離れている。最後は勝ってほしかった」と難色。27日に行われる横綱審議委員会の議論内容にもよる。しかし、貴乃花の引退以降不在の和製横綱を求める声が多いのも事実。来場所に綱とりがかかる見込みだ。
手応えと悔しさが同居した13勝2敗。稀勢の里は「今日のようなことがないようにしたい。いい教訓じゃないか」と声を振り絞った。新たな戦いが始まった。