27歳・稀勢「焦りはどこかにはある」
「大相撲名古屋場所」(7月7日初日、愛知県体育館)
自身初の綱とりに挑む大関稀勢の里(鳴戸)が3日、27歳の誕生日を迎えた。愛知県長久手市の部屋では、出稽古に来た横綱日馬富士(29)=伊勢ケ浜=と13番取り3勝10敗。得意の左四つで胸を合わせながら寄り切られるなど、持ち味の圧力は影を潜め、本場所へ不安が大きくなってきた。
こんなはずではない。横綱のスピードについていけず何度も「ああ~!」といら立った。最後は稽古場の柵を両手でたたき、もどかしさをあらわにした。「低く、と思ったが難しかった。なかなか力を出し切れない。相手に申し訳ない」と、反省を口にした。
稽古を見たNHK解説者の元横綱、北の富士勝昭氏は「踏み込めていない。心配ないといえばうそになる。今くらいは稽古場で絶好調でないと。疲れを取った方がいい」と話し、腰の状態の不安も指摘した。自身の横綱昇進は27歳。「あとは気持ち。一番力が出る時だから」と期待した。
ほろ苦い誕生日だった稀勢の里。「相撲界では、もういい年。焦りはどこかにはあると思うけど、それに打ち勝たないと。全部勝つつもりでいく」と、悲願の初優勝と最高位へ、己を奮い立たせた。