高安、琴欧洲破る 1横綱2大関を撃破
「大相撲名古屋場所6日目」(12日、愛知県体育館)
平幕の高安が大関琴欧洲を取り直しの末、はたき込みで破った。横綱、大関戦を終えて4勝2敗と健闘。同部屋の大関稀勢の里の胸を借りて成長した23歳が、平成生まれ初の三役へ弾みをつけた。横綱白鵬は小結松鳳山を突き落として無敗を守り、全勝だった大関琴奨菊と琴欧洲、平幕の魁聖が敗れたため、早くも優勝争いで単独トップに立った。綱とりが厳しくなった稀勢の里は、臥牙丸を突き落とし、連敗を免れて4勝目を挙げた。
高安がまたも大物食いだ。取り直しの一番。立ち合いで琴欧洲に右に変わられても動じない。体勢を崩さずに向き合うとのど輪で攻め、左に体を開いてはたき込んだ。最初の取組は投げを打ち合ってもつれ、軍配は琴欧洲。物言いの末取り直しとなり「気合を入れ直した。得した気分」と、九死に一生を得た。
日馬富士からの金星、鶴竜に続く大関撃破。上位戦を4勝2敗で終え「連日いい動きができている。結果が出ていて気持ちいい。これからも集中して気を引き締めたい」と、手応えを口にした。
稀勢の里の胸を借りて成長した23歳。三役目前まで何度も来たが、上位にはね返されてきた。ついに壁を破りそうな勢いに、北の湖理事長(元横綱)も「地力がついてきた。堂々と取っている。チャンスをつかんでほしい」と、平成生まれ初となる新三役を期待した。
飛躍の秘けつを「基本です」と話す。鳴戸部屋には稀勢の里が導入した70キロと50キロの球形の石がある。それを抱きかかえてすり足を行った。バーベルとは異なり、重心を意識しないとうまく持てずバランス感覚を養った。名古屋入り後はけいこ場の坂道でタイヤを引き、付け人を肩車してすり足も行った。地道な下半身強化が実を結んだ。
精神面も「今場所は迷わず決めたことをできている」と充実。綱とりをあきらめない稀勢の里とともに、23歳の若武者が場所を面白くする。