千代大龍“火事場のクソ力”で日馬連破
「大相撲名古屋場所8日目」(14日、愛知県体育館)
千代大龍が横綱日馬富士を押し倒し、金星を獲得した。5日目の大関稀勢の里に続く大物食いで6勝目を挙げ、新三役昇進と自身初の三賞獲得へ前進した。2敗の日馬富士は名古屋場所3連覇が厳しくなった。横綱白鵬は安美錦の奇襲に肝を冷やしたが、土俵際の小手投げで逆転し、勝ち越しを決めた。中日での給金直しは28度目となり、自身の持つ最多記録を更新するとともに、連勝を38に伸ばした。
千代大龍は「一発で持っていけた。火事場のクソ力が出ました」と声を弾ませた。この日から漫画家ゆでたまごがデザインした、キン肉マンの新化粧まわしを使用。その名セリフを引用し、今年春場所に続く日馬富士からの金星を喜んだ。
圧倒した。立ち合いで中途半端に動いた横綱に頭から突っ込み、一方的に押し倒した。前回は結び前だったため、座布団の乱舞は初体験。「3月は引いたので、前に出て勝てて良かった。座布団が飛ぶのがすごかったです」と感激した。
前日はかちあげ不発で白鵬に完敗。師匠の九重親方(元横綱千代の富士)からの「気持ちだけ先走っている」という助言を生かした。普段は辛口の師匠も「いい相撲を取れば、いいことがあるということ」とたたえた。
場所後に入籍する婚約者の角野智香さんが来年1月に出産予定。千代大龍は自己最多21本の懸賞に「これで出産費用ができました」と胸を張った。取組後の風呂場では一緒になった白鵬から「いい相撲だった。三役は近い。頑張れ」と激励された。金星に加えて勝ち越せば初の三賞も確実だ。
八百長問題のため初土俵を予定した11年春場所が中止になり、指導者への転身を考えた。大相撲への執着心の薄さは課題だったが「守る者ができたので。ちゃんとしないと」と今は克服。次の相手は大関琴欧洲。再び大物食いで旋風を起こす。