日馬3連敗で休場危機「申し訳ない」
「大相撲名古屋場所10日目」(16日、愛知県体育館)
横綱日馬富士が休場危機に立たされた。関脇豪栄道のすくい投げに屈し、3連敗で6勝4敗。11日目以降の出場について、意欲を口にしなかった。横綱白鵬は、関脇妙義龍を小手投げで退け、昭和以降初となる個人2度目の40連勝を達成。横綱在位中の初日からの10連勝は19回目となり、15日制最多の千代の富士に並んだ。大関琴欧洲は旭天鵬を寄り切り、平幕の魁聖とともに1敗を守った。
日馬富士は左膝をつき、右膝に手を置いて首をかしげた。座布団が舞う屈辱の中で土俵を下りた。立ち合いで豪栄道の左上手を深く取り、押し込まれながら投げを狙ったが、すくい投げで裏返しにされた。
3連敗で6勝4敗。10日目としては、横綱在位5場所で最悪のペースだ。自虐的に「情けない。一生懸命やってるんですけど」と笑い顔をつくった。不調のたびに今後の出場意欲を問われてきたが、初めて「何とも言えない」と明言を避けた。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「立ち合いがバラバラ。気持ちで負けている。気持ちで勝ってきたのに…」とあきれ顔。「歩いて帰れるんだから、気合を入れないと」と、休場させない意向だが、横綱の気持ちが切れていては厳しい。
北の湖理事長(元横綱)が「最後まで出るつもりでないと2ケタも厳しい」と、指摘するほどの低迷。このままでは、場所後に横綱審議委員会から、9月の秋場所で進退を迫られる可能性もある。
帰り際につまずいた横綱は「負けると力も入らないし、フラフラだよ。応援してくれる人に申し訳ない」とポツリ。最後まで笑顔をつくり、待ち構えた女性ファンと記念撮影に応じると「美人でも抱いて力を出そうかな?」とジョーク。その背中には哀愁が漂っていた。