松鳳山、土俵で男泣き…悲願の初金星
「大相撲秋場所2日目」(16日、両国国技館)
幕内松鳳山が土俵で号泣した。結びで横綱日馬富士を押し出して撃破。自身初の金星を獲得すると感極まった。日馬富士に早くも土がついた一方、横綱白鵬と4大関は初日に続いて安泰だった。昭和以降最速となる所要3場所で新入幕を果たした遠藤は、佐田の富士を寄り切って初白星を挙げた。
ついに悲願を達成した。立ち合いで低く頭から当たって踏み込んだ松鳳山は、日馬富士の張り手にもひるまず突き押しで前進。土俵際で左上手を取られたものの、ここが勝負と構わず体を預けて横綱を押し出した。館内に乱れ飛ぶ座布団。感極まって17本の懸賞を受け取る時には号泣した。
「勝って礼をした時にはもうきてました。座布団を自分で飛ばせたのは、うれしかったですね」と会心の笑顔を見せた。これまで日馬富士には7戦全敗。幕内上位に定着しながら、なかなか金星を挙げられなかった。「ずっと(金星を)取りたかった。あとから上位に上がってきた人が取っていたので負けられなかった」と心情を吐露した。
持ち味の突き押しが通じず、結果に結びつかない時期があった。四つに組んだり、もろ差しを狙ったりと試行錯誤。さらに、四股を意識的に多く踏んで、低く当たる立ち合いを磨いた。そこから手が伸びて足も出るようになった。「自分の突き押しで勝てたのがうれしい。(四つ相撲に)浮気しないでよかった」と、一途な思いが届いた勝利の喜びをかみしめる。
今は何よりも、一緒に喜びを分かち合える存在がいる。3月に結婚したあい夫人は来月30日に第1子を出産予定。「勝った瞬間は両親とヨメさんの顔が浮かびましたね。生まれてくる子供にも自慢できます」と早くもパパの顔をのぞかせた。3日目は白鵬戦。再び波乱を起こして、秋場所のポスターのキャッチコピーである“下克上、両国の秋”を再現する。