白鵬16年ぶり大技「呼び戻し」で8連勝
「大相撲秋場所8日目」(22日、両国国技館)
横綱白鵬が、幕内では16年ぶりとなる呼び戻しで宝富士を退け、ただ1人の8連勝。自身の持つストレート勝ち越しの最多記録(1場所15日制定着後)は29度目となった。1敗の大関鶴竜、平幕の嘉風が敗れ、1差で追うのは大関稀勢の里だけとなった。横綱日馬富士は千代大龍を押し出して6勝目。新入幕の遠藤は臥牙丸に押し倒されて3敗目を喫した。
ついに出た。白鵬は右四つ左上手の万全の体勢をつくると、左から上手投げを打って、返す刀で右から豪快に揺り戻して宝富士を転がした。97年春場所9日目に横綱貴乃花が剣晃に決めて以来、16年ぶりとなる呼び戻しに館内がどよめいた。
“土俵の鬼”と呼ばれた横綱初代若乃花が得意とした荒業(あらわざ)。「左上手を取った瞬間に、駄目もとでやるだけやろうと。上手投げのふりをして相手が腰を引いた瞬間にパッと返す。力とタイミングがないと決まらない技ですから」と、身ぶり手ぶりをまじえながら上機嫌で語った。
初代若乃花の映像を見てから、本場所で呼び戻しを決める機会をうかがっていた。「何回か挑戦して(決まり手が)違っていたから。結構かかったね」と、悲願達成に表情をほころばせた。
4場所連続で通算29度目のストレート給金を決め、27回目の優勝へ死角は見当たらない。このまま独走態勢でVへのテープを切りそうだ。