稀勢、残った 日馬との2敗対決制す
「大相撲秋場所12日目」(26日、両国国技館)
大関稀勢の里が横綱日馬富士との2敗対決を、左からの肩透かしで制して10勝目を挙げ、優勝争いに踏みとどまった。横綱白鵬は大関琴奨菊を肩透かしで下し、単独トップをキープした。関脇豪栄道は安美錦を寄り切って勝ち越し、新入幕の遠藤は取り直しの末、徳勝龍に勝って9勝目を挙げた。
負けられなかった。稀勢の里が日馬富士との2敗対決を制し、14日目の対決が濃厚な白鵬への挑戦権を獲得。直接対決へ弾みをつけた。
日馬富士の引きに乗じて一気に押し込んだものの、土俵際で奇跡的に残した横綱に思わぬ反撃を食らった。右上手をつかまれて頭を付けられ、左半身になる苦しい体勢。しかし、持久戦に持ち込んで堪え忍んだ。抱え込んだ左腕を右からグッと引き寄せると、日馬富士の体が泳いだ瞬間に左から鮮やかな肩すかし。バランスを崩した横綱を土俵に転がした。
49秒2の熱闘を制して支度部屋に引き揚げてくると、しばらくは荒い息づかいが収まらなかった。「我慢ですね。何かチャンスがあればと思っていた。集中してやった結果でしょう」と、納得の表情で振り返った。
北の湖理事長(元横綱)も「この一番は大きい。白鵬に追いつけるかは自分しだいだ」と期待した。両横綱を破り、千秋楽までV争いに加わっていけば、綱とりの声がかかってくるはずだ。「いい経験をさせてもらっている。これを無駄にしないようにしたい」と決意表明。打倒白鵬、そして逆転優勝へ。稀勢の里がラストスパートをかける。