稀勢「あ~っ」痛恨3敗目に絶叫
「大相撲秋場所13日目」(27日、両国国技館)
大関稀勢の里は関脇豪栄道に押し出され、痛恨の3敗目を喫した。横綱白鵬が大関鶴竜を押し出して1敗を守ったため、悲願の初優勝はまたしても遠のいた。白鵬は14日目の稀勢の里戦に勝てば、4場所連続27度目の優勝が決まる。横綱日馬富士は大関琴奨菊に寄り切られ、注目の新入幕遠藤は小結栃煌山のすくい投げに屈し、ともに4敗となった。
稀勢の里が痛恨の黒星を喫した。自力優勝の可能性を残したまま、白鵬との直接対決を望んでいたファンの歓声は、悲鳴とため息に変わった。
前日に日馬富士を倒した姿はなかった。立ち合いで豪栄道に圧力をかけたがつかまえきれず、いなされて体勢を崩し、あっけなく押し出された。顔を真っ赤にして支度部屋に戻り「ああ、クソッ!!」と絶叫。風呂場からも二度「あ~っ!!」と叫び声が上がった。
初優勝に迫った先々場所は13連勝後に連敗。綱とり継続がかかった先場所千秋楽も敗れた。「この経験を生かさないと」と誓った今場所も、大一番を前に自滅。またも期待を裏切った。
鏡山審判部長(元関脇多賀竜)は「終わったね。1日だけだったね。みんなで夢を見たのは」とバッサリ。今後の横綱昇進についても「もうないと思うよ、彼は。みんなの願いだから、何とか横綱になってもらいたいと思うけど。厳しいなあ」と切り捨てた。
北の湖理事長(元横綱)は「明日勝って12勝なら見方が変わるが、12と13では重みが違う」と話した。白鵬戦と千秋楽に連勝しても、九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)での綱とりには否定的だった。
稀勢の里は風呂から上がると、顔をしかめて荒い息づかいのまま、己への怒りで体を震わせ、無言のまま引き揚げた。せめてもの意地を白鵬にぶつけるしかない。