稀勢の里、残り全勝なら初場所綱とりへ

 「大相撲九州場所12日目」(21日、福岡国際センター)

 大関稀勢の里が千代大龍を押し出して2敗を守り、13日目からの横綱戦へ闘志を高めた。白鵬、日馬富士は12連勝。北の湖理事長(60)=元横綱=は、稀勢の里が残り3日間に全勝して13勝2敗とした場合、来年1月の初場所に綱とりがかかる考えを示した。

 稀勢の里が横綱戦へ弾みをつけた。対戦成績2連敗中の千代大龍に、頭から低く当たってのけぞらせ、愚直に前へ。相手のはたきに乗じて、一気に押し出した。形にこだわらず「前に出ようと思った」とうなずいた。

 13日目は日馬富士と対戦し、14日目は白鵬戦が確実。両横綱は無敗を守れば、83年秋場所の隆の里‐千代の富士以来30年ぶり5度目となる横綱同士の千秋楽全勝対決となる。

 一昨年11月、九州場所前に急逝した先代鳴戸親方(元横綱隆の里)の名が取りざたされる状況に、大関は「自分は自分ですから」と素っ気ない。それでも、阻止する思いを問われると「それしかないんじゃない?」と闘志を口にした。

 北の湖理事長は「立ち合いでのとらえ方がいい」と評価。大関が13勝まで星を伸ばした場合は「優勝に準ずる成績と言える。13勝は重い」と、来場所は綱とりとなる考えを示した。

 亡き師匠の名を輝かせ、悲願の綱とりへ。自力優勝の可能性はなくとも大事な終盤戦。「やるだけです」と、表情を変えず言った。

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