日馬が初黒星 苦手・稀勢に5連敗
「大相撲九州場所13日目」(22日、福岡国際センター)
横綱日馬富士は大関稀勢の里に寄り切られ、初黒星を喫した。大関鶴竜を寄り切った横綱白鵬は、ただ一人13連勝とした。14日目で白鵬が稀勢の里に勝ち、日馬富士が鶴竜に敗れれば、白鵬の5場所連続28度目の優勝が決まる。また、注目の遠藤は妙義龍に押し出され、負け越しが決まった。
横綱同士のマッチレース。先に土がついたのは日馬富士だった。苦手の稀勢の里戦。立ち合いはともに頭から当たって互角も、今場所封印していた大振りの右張りを放ち、がら空きとなった脇を差されて暗転。懸命の首投げ、小手投げも効果なく寄り切られ、首をかしげてうつむいた。
支度部屋では平静を装い、問いかけに応じた。「勝負事だから負けることもある。これからもずっと当たる相手ですから。もうちょっと体を大きくしないと」。83年九州場所(千代の富士‐隆の里)以来、30年ぶりとなる横綱同士の千秋楽全勝対決の夢は消えた。
稀勢の里には5連敗。大関以下に苦杯をなめ続けるのは、出島に5連敗した曙以来だ。場所前に稀勢の里へ出稽古に来るよう求めたが、約束の日に大関が選んだのは豪栄道らがいる境川部屋だった。待ちぼうけにされた屈辱も、晴らすことはできなかった。
宿舎を構える太宰府天満宮では、優勝パレードの準備が進んでいる。自力優勝の可能性はまだある。「これからです。勝負事は何が起こるか分からない」。失意の中、鶴竜戦に向けて、自らに言い聞かせるように話した。