日馬、速攻V 相星横綱対決制した
「大相撲九州場所・千秋楽」(24日、福岡国際センター)
日馬富士は横綱相星決戦で白鵬を寄り切って14勝1敗とし、5場所ぶり6度目の優勝を果たした。稀勢の里は鶴竜との大関対決を寄り切りで制して13勝。来年1月の初場所で綱とりがかかり、北の湖理事長(60)=元横綱=は、13勝以上の優勝を昇進条件に掲げた。三賞は勢が敢闘賞、千代大龍が技能賞を、ともに初受賞した。
速攻だった。日馬富士は頭で当たると同時に左に動いて左上手を取り、振り回しながら右を差して寄り切った。土俵を割った白鵬が中央まで寄り戻ったため、行司が双方の背中を触り相撲を止めた。
日馬富士は「全く気づかなくて急に大横綱が力を抜いたので、僕の足が出ていたのかな、しまったと思いました」と振り返った。それでも優勝インタビューでは「ファンの皆様の力で優勝することができました」と述べ、大歓声に包まれた。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は4日目から体調不良のため入院中。08年春場所(朝青龍‐白鵬)以来の相星横綱決戦を制し「僕ができるのは相撲で元気を与えることだけ。恩返しできて良かった」と胸を張った。
両足首痛に苦しみ、低迷が続いた。秋巡業では、一般客に白鵬の付け人と間違われる屈辱も味わった。長女、次女と6月に誕生した長男の写真を連日、バトトール夫人に携帯電話へ送信してもらい、気持ちを高めた。
日馬富士は初めて家族5人で優勝の記念撮影を終え、会場前、そして宿舎を構える太宰府天満宮で2度、優勝パレードを行った。短命説を覆す横綱として2度目の賜杯。「僕はこれで終わる相撲取りじゃない。全身全霊で頑張ります」と、強気に信条を掲げた。