稀勢の里、13勝以上Vが綱とりノルマ
大相撲の横綱審議委員会が25日、東京・両国国技館で開かれた。九州場所で13勝2敗の好成績を挙げた大関稀勢の里(27)=鳴戸部屋=について、初場所(来年1月12日初日、両国国技館)での綱とりの条件が13勝以上の優勝であることが確認された。内山斉委員長(読売新聞グループ本社顧問)は、「優勝しても12勝では駄目、14勝以上しても優勝しなくては駄目」と文句なしの成績で昇進することを厳命した。
ノドから手が出るほど欲しい和製横綱。しかし、北の湖理事長(元横綱)は決してハードルを下げることはしなかった。九州場所千秋楽で稀勢の里が鶴竜を下して13勝目をマークした直後に、「綱とりのレベルは高い。12勝じゃ駄目。優勝しなければ駄目。13、14、15勝」と昇進ラインを設定。一夜明けたこの日も横審のメンバーに改めてこの考えを伝えた。内山委員長によると、出席した10人の委員も理事長の意見に同意したという。
ここ10場所で連続して2桁の勝ち星を残している安定感に加え、02年3月の初土俵から一度も休場していない頑丈さへの評価は高い。一方で最大のネックとなるのが、やはり優勝経験がないこと。仮に優勝を逃して14勝を挙げた場合について問われた同委員長は、「優勝しなければ審判部が持ってこないでしょう」と、協会から昇進の諮問自体がないことを示唆。事実上、優勝ゼロのままでは横綱を誕生させない方針が、協会と横審との間で確認されたといえる。
初めての綱とりとなった名古屋場所では、序盤から下位力士に取りこぼし7日目までに3敗を喫して早々と失敗。13勝以上の優勝という絶対条件をクリアするために、再び大きなプレッシャーに立ち向かうことになる。
「ファンの期待は大きい。圧力に負けないように自分の相撲を取ること。初場所は正念場。大きな局面になる」と内山委員長。稀勢の里は初優勝とともに、何が何でも13個の白星を積み重ねるしかない。