稀勢の里14勝V逸でも横綱昇進OK
「大相撲初場所」(14年1月12日初日、両国国技館)
日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会による稽古総見が26日、東京・両国国技館で行われた。内山斉委員長(読売新聞グループ本社顧問)は、綱とりに挑む大関稀勢の里について、14勝して優勝決定戦で負けても、昇進を認める発言をした。日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は「13勝以上での優勝」を掲げていたが、優勝が絶対条件ではないとした。
和製横綱誕生を望むファンの声が、横審を動かした。内山委員長が総見後、新たな見解を打ち出した。「ファンの期待があるからひいき目になってしまうけど、14勝で決定戦で負けても、審判部が諮問してくれば、(昇進)OKになる」。これまで内山委員長は「13勝以上での優勝」という理事長案に同調していた。
総見で、稀勢の里は気合十分の稽古を披露した。大関鶴竜とは9番取って4勝5敗、関脇豪栄道には1勝1敗。最後に胸を借りた横綱白鵬には2勝5敗で、合計7勝11敗だったものの、「まだこれからだけど、状態は悪くない」と、凛(りん)としたオーラを漂わせた。
前日、師匠(元幕内隆の鶴)が鳴戸から田子ノ浦に名跡を変更し、伝統ある鳴戸部屋が消滅。一夜明け、来年別の場所に部屋を建設するまでの半年間、間借りする都内の旧三保ケ関部屋に師匠らと引っ越した。前三保ケ関親方で歌手の増位山太志郎氏にあいさつを済ませ「前の部屋を離れるのは寂しいが、相撲を取れる環境があるのはうれしい。ここはとてもいい土俵ですね」と意気込んだ。
部屋のドタバタはあったが、「自分のしこ名が変わるわけじゃないし、やることは変わらない。いちいち気にしていたら相撲は取れない」と動揺はない。あとは昇進という結果を残すだけだ。