稀勢の里 痛恨2敗で綱とり絶望的
「大相撲初場所・5日目」(16日、両国国技館)
大関稀勢の里が平幕碧山に押し出されて痛恨の2敗目を喫した。北の湖理事長(元横綱)は13勝以上の優勝を昇進条件としていたが、今場所の綱とりは絶望的になった。関脇豪栄道に土がつき、全勝は横綱白鵬だけになった。稀勢の里以外の大関陣は鶴竜、琴奨菊がともに勝った。ホープ遠藤は高安に勝って4連勝とした。
勝負の世界は甘くない。冷静さを欠くとこうなるという、絵に描いたような黒星だった。稀勢の里は立ち合いで碧山と呼吸が合わない。一度突っかけられて待ったをすると、はた目にも頭に血が上ったのが分かった。
2度目の立ち合いも腰を落とそうとしない。やっと3回目の立ち合いで立ったが、もろ手突きで上体を起こされ、続けて左の強烈なのど輪を食らう。首が伸び上がり、何もできずに土俵を割った。
一言も発さず
過去5戦無敗の相手に初黒星。それも1敗もできない綱とりの重要な場面で。支度部屋では無念の思いを押し殺すように無言でテーピングを外し、車で引き揚げるまで一言も発しなかった。
冷静さを欠いた結果の敗戦で、2度目の綱とりは絶望的になった。鏡山審判部長(元関脇多賀竜)は「待ったした時点で『うわっ』と思った。何でこんなところで神経使うのかなと。平幕相手でも2敗は2敗。もう絶望に近い。オレ的には(昇進は)ない」と一刀両断に切り捨てた。
北の湖理事長は「13勝以上の優勝」を昇進の条件としており、数字的には可能性が完全消滅したわけではないが、序盤で平幕に2敗はあまりにも痛い。残り10日間、まずは自分の相撲を取り切ることが先決だ。