大砂嵐、大鵬一周忌にライバル遠藤撃破
「大相撲初場所・8日目」(19日、両国国技館)
エジプト出身の大砂嵐が遠藤を突き落としで破り、6勝目を挙げた。昨年1月19日に死去した元横綱大鵬の納谷幸喜氏(享年72)の命日に白星を捧げた。2度目の綱とりだった大関稀勢の里は小結栃煌山に寄り切られて3敗目を喫し、今場所の昇進は消えた。横綱白鵬は松鳳山をとったりで退け、自身の記録を更新する31回目の全勝ターン。1敗で追うのは大関鶴竜だけとなった。
この日だけは負けられなかった。平幕同士の対戦としては異例の懸賞14本がかけられた注目の取組。大砂嵐は立ち合いで強烈な右のカチ上げで遠藤をのけぞらせると、左を差して出てくる相手を右からの突き落としで横転させた。
「いつもと一緒ですよ。自分のスタイルの相撲を取るだけ」。冷静に振り返ったが、遠藤は昨年の名古屋場所で十両に同時に昇進しただけにライバル心がないはずはない。
朝稽古の後、納谷氏の仏壇の前で手を合わせた。「絶対に勝ちます」‐。勝利を誓って国技館に向かった。来日するまで納谷氏のことは知らなかったが、大鵬部屋の流れをくむ大嶽部屋に入門してから大横綱であることを知った。直接かけられた言葉は、「四股、スリ足、鉄砲を毎日やりなさい」。その教えを守ってきた。
昨年1月19日、納谷氏が息を引き取った時は幕下38枚目だった。あれから1年、幕内力士として“大鵬道場”の先頭に立って部屋を引っ張っている。「6勝?まだまだ。場所は終わっていない」と気を引き締める。今度は幕内で初めての勝ち越しの報告を墓前に届ける。