遠藤、最速10勝 元大関ぶん投げた

 「大相撲初場所・13日目」(24日、両国国技館)

 ホープ遠藤が、元大関の関脇琴欧洲をすくい投げで破り10勝目を挙げた。幕下付け出しデビューから6場所目での幕内2けた星は豊山、長岡(後の大関朝潮)に並ぶ最速記録。大関復帰に10勝が必要だった琴欧洲は6敗目を喫し、来場所の大関復帰がなくなった。横綱白鵬は稀勢の里を押し出して全勝をキープ。鶴竜は琴奨菊との大関対決を下手投げで制し、1敗を守った。14日目に白鵬が勝ち、鶴竜が負ければ、白鵬の28回目の優勝が決まる。

 感無量だった。遠藤は、小学生時代に朝青龍にあこがれて相撲の道へ入った。大横綱としのぎを削った琴欧洲に勝った。勝利の余韻に浸った支度部屋。報道陣の質問をさえぎるように言った。

 「小さいころ、興味を持った朝青龍関と対戦していた琴欧洲関に勝てたなんて考えられない。自分でもびっくりしています」

 言葉とは裏腹に相撲は理詰めだ。仕切り線から離れて座る琴欧洲を見るや、立ち合いを微妙に遅らせた。当たった直後に左を差して右前みつを引く。つかんだ左を離してのすくい投げ。身長差で20センチ上回る元大関を土俵に沈めた。

 「立ち合いはわざと遅らせた。相手が離れていたので普通に踏み込んだら自分の体が伸びる。当たりやすい位置にきてからと思って。左を離したのは持ったままだと、あの長身がかぶると思った」

 前日の琴奨菊戦は完敗だったが、24時間後に元大関をぶん投げた。北の湖理事長(元横綱)は「仕切る前から体が柔らかい。腰が割れているからね」と絶賛した。

 幕下付け出しでの初土俵から6場所目の幕内2ケタ勝利は最速タイ。初の三賞受賞も確定的になった。その人気で国技館は平日にもかかわらず、1万304人の観客で大入り満員。角界が遠藤を中心に回りだした。

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