稀勢7敗目…負傷悪化で負け越し危機
「大相撲初場所・14日目」(25日、両国国技館)
大関稀勢の里が負け越しの大ピンチに陥った。1敗の大関鶴竜との一番ではたき込みで敗れた際に、12日目の琴欧洲戦で痛めた右足親指の負傷をさらに悪化させた。2度目の綱とり場所だったが、千秋楽を7勝7敗で迎えることになり、過去18勝27敗と苦手の琴奨菊との対戦に勝ち越しを懸けることになった。優勝争いは、全勝を守った横綱白鵬と1差で追う大関鶴竜の千秋楽結びの一番に持ち込まれた。
まさに大ピンチだ。稀勢の里は鶴竜との大関同士の一番で頭を押さえつけられ、土俵中央で前のめりに倒れ込んだ。右足で踏ん張った際に痛めていた右足親指をさらに悪化させ、勝負が決まった後もなかなか起き上がることができなかった。
普段は痛がる素振りをめったに見せないが、この日は花道を引き揚げるときに顔をしかめて足を引きずり、負け残りで土俵下の控えに下がってからもしきりに右足を気にするしぐさを見せた。
12日目からの3連敗で、ついに7勝7敗。しかも千秋楽の相手は合口の悪い琴奨菊。北の湖理事長(元横綱)は、「今のままでは(勝ち越しは)厳しい」と断言。「つんのめった時に親指に重心がかかった。ねじり気味に入ったし、相当痛いと思う」と、ケガの状態を心配した。
支度部屋に引き揚げてきた稀勢の里は、報道陣の質問に「そうですね」と力なく答えるのが精一杯。一門の松ケ根親方(元大関若嶋津)が風呂場まで様子を見に来るほどで、砂のついた大銀杏を洗いマゲを直させている間は、患部に氷のうを当ててジッと目を閉じ痛みに耐えていた。
駐車場に向かう通路では階段を下りる際に付け人の肩を借りるほどで、千秋楽の出場すら危ぶまれる状況といっていい。
昨年の九州場所で13勝を挙げ、2度目の綱とりで迎えた初場所。和製横綱誕生へ周囲の期待は大きかったが、まさか勝ち越しさえも危ぶまれるとは…。手負いの稀勢の里は最後の最後に意地を見せることができるのか。