遠藤「まだまだと痛感」横綱日馬に完敗
「大相撲春場所2日目」(10日、ボディメーカーコロシアム)
注目のホープ遠藤(23)=追手風部屋=の横綱初挑戦は完敗に終わった。日馬富士に一方的に攻め込まれ、最後はすくい投げに屈した。3日目は最強横綱白鵬と激突する。綱とりの大関鶴竜は松鳳山をはたき込み、横綱白鵬は玉鷲を引き落としてともに2連勝。鶴竜以外の大関陣は稀勢の里が栃煌山をはたき込んで勝ち、琴奨菊は豊ノ島に寄り切られて初黒星を喫した。
ざんばら髪についた砂が痛々しかった。館内に充満する遠藤コールを浴び、死力を振り絞って挑んだ綱の壁。立ち合い勢いよく当たったが、日馬富士の俊敏さが上だった。激しく突かれ、我慢仕切れず体が伸びる。気がつけば、土俵の上にたたきつけられていた。
土俵の上の照明がまぶしい。完璧に倒されて見る景色。この日は午前7時40分に稽古場に降り、入念な立ち合いの確認を行った。得意の右前まわしを取って一気の寄り。自分の型に持っていければ勝機があったかもしれないが、横綱にまったく相撲を取らせてもらえなかった。
「横綱はオーラがすごい。強かったです。立ち合いで突き起こされないようにいったのに全然通用しなかった。(入門)1年で結びで取れるところまできたのはうれしいけど、すべての面でまだまだと痛感しました」
それでも23歳は乾いたスポンジのように、すべての経験を吸い込んでしまう。前日は「無我夢中で」鶴竜に敗れたが、わずか24時間後には「硬くなったり自分を見失うような緊張はしなかった。昨日とは違い、今日は自分の場所なんだという気持ちがあった」と、堂々と振り返った。
2連敗で迎える3日目は角界の頂点に立つ白鵬が相手。日馬富士戦で入門7場所2日での最速金星は逃したが、武双山の7場所4日を更新するチャンスは残っている。「思い切って当たっていくだけです」。三度目の正直を果たせば、日本中が遠藤コールで沸き返る。