遠藤「勝った!」大砂嵐の連勝止めた
「大相撲春場所・8日目」(16日、ボディメーカーコロシアム)
ホープ遠藤(23)=追手風部屋=が、平幕で唯一の勝ちっ放しだった大砂嵐を突き落として4連勝。星を4勝4敗の五分に戻した。遠藤人気を証明するように、この一番には12本の懸賞が懸けられ、8日間の懸賞の合計は既に124本に達した。横綱白鵬は高安を退けて、7場所連続32回目のストレート給金を決めた。横綱日馬富士も魁聖を寄せつけず無敗をキープ。全勝は両横綱だけとなった。
抜群の相撲センスで、大入り満員の館内を沸かせた。遠藤が連勝街道をばく進してきた大砂嵐に土をつけた。横綱・大関戦4連敗から破竹の4連勝。「勝った!みたいな気持ちですね」と元気いっぱいに喜びをかみしめた。
ハラハラドキドキの相撲がファンを魅了する。立ち合いで左四つから右の上手を許す。この不利な状況を半身になって耐え、直後の大砂嵐の上手投げに乗じて左へ回り込む。土俵際で左を引いての突き落とし。最後は両者がほとんど同時に土俵外へ落ちたが、紙一重の差で相手の肘が先についた。
「自分が残っているな、という感覚はありました。上手を取られたときは我慢して攻めるつもりだった。中途半端にならないように、思い切っていこうと思っていました」。大砂嵐とはこれで通算2勝2敗。先場所は中日に対戦し、突き落としで不覚を取ったが、見事に雪辱を果たした。
その人気を示すように、懸賞の数も半端ではない。初日からこの日までの8日間で計124本が懸けられ、勝った5日目からの本数は13、9、16、12本と計50本。北の湖理事長(元横綱)は「好取組でした。遠藤は4連勝で自信を持ってきている。この大砂嵐との一番が今後も好取組となり、上位陣がうかうかできないようになれば面白い」と、かつての貴乃花‐曙、武蔵丸戦の再現を期待した。
中日時点で星は4勝4敗の五分。横綱・大関戦は既に終了し、勝ち越しの可能性は十分に出てきた。勝ち越せば史上最速となるデビューから所要7場所での新三役昇進も射程圏に入ってくる。「まだ中日ですから。先は長いので特別な気持ちはありません」。遠藤自身はクールでも、周囲のヒートアップは止まらない。