「大相撲夏場所４日目」（１４日、両国国技館）

　人気者の遠藤が、新横綱鶴竜を寄り倒しで破り初金星を獲得。幕下付け出しデビューから８場所目での金星奪取は、武双山（現藤島親方）の７場所に次ぐ史上２番目の早さとなった。鶴竜は初めての金星配給。横綱白鵬と日馬富士は順当に勝ったが、稀勢の里、琴奨菊の両大関はそろって敗れた。全勝は白鵬と平幕の安美錦、高安、常幸龍、北太樹の５人になった。

　これが座布団が舞う景色なのか‐。夢にまで見た金星奪取。遠藤は勝ち名乗りを受け、初体験の勝ち残りで土俵下に座ると、横綱に勝った味をジワリとかみしめた。

　文句なしの勝ちっぷりだった。先場所初日、綱とりの大関鶴竜に土俵際で逆転のはたき込みを食って惜敗した。もう悔しい思いはしたくない。ひたすら前に出て攻め続けた。立ち合いの突っ張りで横綱を後退させ、左から右と素早く２本差し込んでモロ差しの絶好の体勢をつくった。

　ここが勝負のとき。一気に寄り立てていったが、土俵際で左を巻き替えた鶴竜が右から強烈な突き落としを繰り出してきた。「こんなチャンス、次いつ来るか分からないと思って必死にこらえました」と、右足親指の付け根から出血するほど踏ん張って、横綱をあおむけにひっくり返した。

　「無我夢中でした。立ち合いがうまくいって、あとは自然に体が動いてくれた。思った以上の相撲が取れました」と会心の内容を振り返る。春場所前に鶴竜のもとへ出稽古に行き、６６番取ってわずか３勝しか出来なかった。稽古をつけてくれた横綱に恩返しを果たし、「少しでも成長したと思ってもらえたらうれしい」と話した。

　勝ち残りの土俵下の控えでは神妙な表情だったが、「師匠（元幕内大翔山の追手風親方）がテレビで見てるので、変な顔をしたら冷やかされると思って、シャキッとしてました」と笑った。初めてまげを結った場所でも、遠藤が旋風を巻き起こしそうだ。