故放駒前理事長の愛弟子たち号泣
「大相撲夏場所・9日目」(19日、両国国技館)
元大関魁傑、前放駒親方で前日本相撲協会理事長の西森輝門(にしもり・てるゆき)氏(享年66)の急死から一夜明けた19日、十両魁、幕下の若乃島ら旧放駒勢が先代師匠を弔う熱戦を繰り広げた。幕内は横綱白鵬がホープ遠藤の挑戦を退けただひとり全勝をキープ。新横綱鶴竜は関脇栃煌山に敗れて3敗目。大関稀勢の里と平幕勢が1敗を守った。
弔い星はつかめなくても、思いは天国に届いた。魁は一心不乱に攻めたが、隆の山に左からの掛け投げを食らい、土俵に転がった。前日18日に虚血性心疾患のため66歳の若さで帰らぬ人となった先代のため、何が何でも勝ちたかった一番。「早すぎます。今日は気持ちの整理が全然できていなかった」と目を真っ赤にして泣いた。
最後に会ったのは今年の正月。「自宅にあいさつに行った。元気でしたから亡くなるとは夢にも思わなかった」。先代の思い出は多いが「いつもまじめにやれと言われた。十両に上がった時、笑顔で喜んでくれたことを思い出します」としみじみ振り返った。
入門15年目の若乃島は、勝てば悲願の関取になれる一番だったが、大栄翔に突き出しで敗れ、支度部屋前で涙を流した。「先代が退職された時、自分もやめると言ったら、最後まであきらめるなと怒られた。これからも悔いのないように頑張ります」。その言葉から深い喪失感がにじみ出た。