白鵬V29!3横綱時代もやっぱり主役
「大相撲夏場所千秋楽」(25日、両国国技館)
白鵬が日馬富士との横綱対決を上手投げで制し、14勝1敗で2場所ぶり29度目の優勝を果たした。優勝回数29は歴代3位。大関稀勢の里は横綱鶴竜を突き出して13勝2敗とし、来場所以降の綱とりへの足掛かりを築いた。鶴竜は9勝止まりで、新横綱が2ケタ勝利を挙げられなかったのは12年九州場所の日馬富士以来。
3横綱時代も、白鵬が一枚上の存在感を示した。目の前で稀勢の里が鶴竜を破り、結びで日馬富士に敗れれば決定戦にもつれこむ可能性があったものの、積み重ねてきた実績が揺るがぬ自信を支えた。
立ち合い、左へ動きながら左上手をがっちり引く。間髪を入れず力強い上手投げ。日馬富士を土俵にたたきつけ、興奮で顔を真っ赤にした。「2番取るつもりで気楽にいこうと思った。しっかりまわしを取れたのがよかった」と、静かに振り返った。
モンゴルから2年ぶりに来日した両親が館内で見守った。父・ムンフバトさんは体調を崩しており、元気づけるには優勝が最大の良薬。「オヤジが体を悪くしていて、その前でこういう相撲を取れた。ホントにうれしい」と感慨に浸った。
千代の富士の31回、大鵬の最多32回を視界にとらえた。北の湖理事長(元横綱)は「来年には32回に王手がかかるのでは?」と、その安定感に舌を巻く。表彰式では安倍晋三首相から「おめでとう」と激励を受け「大鵬親方の32回もあるし、朝稽古に精進し、若手を引っ張っていきたい」と抱負を語った。
私生活では紗代子夫人が第4子を懐妊した。公私とも充実度を増す白鵬。まだ主役は譲らない。