稀勢の里1敗 北の湖理事長は苦言
「大相撲名古屋場所・2日目」(14日、愛知県体育館)
初優勝を狙う大関稀勢の里が小結安美錦にはたき込みで敗れ、2日目にして初黒星を喫した。白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱はそろって勝った。かど番の大関琴奨菊は嘉風を寄り切って2連勝。
ふがいない自分への怒りか、稀勢の里は支度部屋へ引き揚げる途中、観客席を支える鉄骨の壁を拳でたたいた。
敗者の弁は何を言っても言い訳になる。風呂を使い、まげを結ってもらう間、終始無言を貫いた。ペットボトルの冷水を口に運んでは、ため息。報道陣が「2日目は黒星でしたが、明日以降はどのように?」と聞いた時だけ「うーん、どうでしょうか」と唇を動かした。
立ち合い一気に出て安美錦を押し込んだが、次の瞬間、落とし穴が待っていた。両手で後頭部を押さえられると、たたらを踏んで前のめりに倒れた。「安美錦がまげをつかんだのでは」と物言いがついたが、すぐに軍配通り安美錦の勝ちとなった。最後の運にも見放された。
見守った北の湖理事長(元横綱)は「上体が高いから足の送りが悪い。気持ちが先にいって体がついていっていない。こういうことだと、先行きがどうなるのか見えにくくなってしまう」と苦言を呈した。
「先行き」とは今場所優勝。さらにそれに準ずる高い星を挙げて、秋場所で綱とりに臨むこと。日の丸エースが序盤戦にして早くも窮地に立たされた。