琴奨菊2敗守る!8年半ぶり日本人Vへ
「大相撲名古屋場所・14日目」(26日、愛知県体育館)
大関琴奨菊が、平幕高安との2敗対決を寄り切りで制した。横綱白鵬は横綱鶴竜を寄り切って2敗を堅持。関脇豪栄道は照ノ富士を寄り切って11勝目を挙げた。優勝は白鵬、琴奨菊に3敗の豪栄道、高安までに可能性がある。遠藤は豊響を突き落として7勝目を挙げた。
速い、低い、強い。琴奨菊が巨大な弾丸と化して、高安に襲いかかった。当たると同時に左を差して、相手の上体を起こす。間髪を入れず、右腕も抱え込んで寄り切った。
館内に湧き上がる大歓声を心地よさそうに聞きながら勝ち名乗りを受けた。支度部屋には笑顔を見せながら帰還。「しっかり体も気持ちもついてきてくれて、うれしい。当たったら反応だから。冷静でいられた」と、淡々と振り返った。
逆境を糧とした。昨年九州場所2日目に松鳳山を押し出した際、右大胸筋断裂の大けがを負った。場所成績は1勝2敗12休。以降はけがの後遺症との闘いが続き、今場所になって思うように動けるようになった。「あのときはもっと苦しかったから」。自然と強いメンタルも身につけた。
千秋楽は全国の相撲ファンが注目する大一番となる。初優勝なら2006年初場所の栃東(現玉ノ井親方)以来、8年半ぶりの日本出身力士の賜杯獲得となる。本割で豪栄道を迎え、白鵬も勝った場合は優勝決定戦にもつれ込む。
「優勝争いも何もかも受け入れて、後悔のないようにね。ここまできたら、もがいている方がばかばかしい」。腹は決まった。あとは土俵で全力を尽くすだけだ。