逸ノ城、白鵬に「うれしかった」完敗

 「大相撲秋場所・14日目」(27日、両国国技館)

 やはり白鵬の壁は厚かった。1敗同士の対決は、横綱白鵬が左からの上手出し投げで新入幕の逸ノ城を下し、千代の富士(現九重親方)に並ぶ史上2位の31回目の優勝へ王手をかけた。2つ目の金星を狙った逸ノ城は、100年ぶりの新入幕優勝から後退した。千秋楽に逸ノ城が安美錦に敗れるか、白鵬が鶴竜との横綱対決で勝てば、3場所連続Vが決まる。

 真っ正面からぶつかって、大横綱を本気にさせた。11日目の稀勢の里戦、13日目の鶴竜戦は立ち合いで左に変化した逸ノ城だったが、あこがれの存在である白鵬との1敗同士の対決では正々堂々の戦いを挑んだ。同じ右の相四つ。互いに左上手を狙って踏み込むも、低く鋭い横綱にあっという間に左前みつをつかまれた。

 いつもの白鵬なら出し投げで崩したり、強引な上手投げで勝負をつけるところだが、苦しい体勢になっても逸ノ城はじっくり構えて反撃のチャンスをうかがった。しかし、右下手もがっちりつかまれると、たたきつけるような上手出し投げに横転した。

 新入幕Vの野望は、ほぼついえた。それでも、第一人者と真っ向勝負できた満足感を漂わせた。「思い切りいってよかった。すぐに負けなかったし、一発で倒されなかったのでうれしかった」と、22秒3の熱戦を振り返った。

 北の湖理事長(元横綱)は「白鵬は体が柔らかいから上手を早く取れるし、相手には取らせない。そこが勝負の分かれ目だった」と、分岐点を指摘。審判部のビデオ室から決戦を見届けた師匠の湊親方(元幕内湊富士)も、「やっぱり強い。横綱にあれだけ十分に取られたら残せない」と話した。

 幕下付け出しから史上最速となる所要5場所での三役昇進に近づくためにも、千秋楽の安美錦戦が重要になる。「まだ終わりじゃない。あしたも思い切りやるだけ」と、集中は切れていない。13勝目をつかむために、怪物は最後まで全力で戦う。

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